総まとめ版◆「は」と「が」の違いの6つの基準◆使い分けのルールをイラスト付きで説明!

日本語の勉強を始めて最初にぶちあたる壁のひとつ、「は」と「が」の違い

日本語がネイティブであれば無意識に使い分けている「は」と「が」ですが、日本語学習者にとっては理解するのも使いこなすのも一苦労なのです。

今回は、「は」と「が」の違いについて疑問を抱いた方々が少しでも理解できるよう、よく使う基準をまとめてみました。

それでは、早速説明に入ります(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

 

1.文の中で伝えたい大切な情報が、「は」の後ろ、または、「が」の前にくる。

いろいろある基準の中で、この基準が一番シンプルで便利な基準だと思います。

〇〇は■■です。
■■が〇〇です。
〇〇:話のトピック
■■:一番言いたいこと

どういうことかというと、

  1. 日本語の先生です。☞「一番言いたいことは日本語の先生であるということ」
  2. 日本語の先生です。☞「一番言いたいことは日本語の先生は、ほかの誰でもない私であるということ」

英語ができる方であれば、

I am a Japanese teacher.

I am a Japanese teacher.

のように、英語で考えるのも1つの手です。

 

他にも

  1. 今日の朝ご飯高級食パンでした。「一番言いたいことは高級食パン
  2. 今日の朝ご飯、高級食パンでした。「一番言いたいことは今日の朝ご飯

 

  1. 駅前のパン屋さん、一番おいしいです。「一番言いたいことは駅前のパン屋さん
  2. 駅前のパン屋さん朝7時から営業しています。「一番言いたいことは“朝7時から営業している”という情報」

 

これをまとめたものが、

〇〇は■■です。
■■が〇〇です。〇〇:話のトピック
■■:一番言いたいこと

ということです。

 

 

似たような基準で、

 

トピック・テーマ(主題…その文が何について話しているか)
サブジェクト(主語…述語が表すもの)

というものもあります。

 

その場合

『象長い。』

この文は、象について話しているから、トピックは象☞「は」を使います。

そして、述語(文の終わり部分)の「長い」のは、鼻だから、「が」を使います。

 

 

『キリン長い。』

同じように、キリンについて話しているから、「は」

述語の「長い」は、「首」のことだから「が」を使います。

 

という基準もありますが、

 

「は」の後ろ、または、が」の前に一番言いたいことがくる。

 

この基準の方がシンプルかと思います。

 

他にもいろいろと基準やルールがありますので、紹介します。

 

 

2.新情報か旧情報か

 

この基準はよく使われるもののうちの1つです。

初めてトピックにでるときには「が」次から(会話している人の共通認識になると)「は」を使って話します。

 

 

有名な昔話『ももたろう』の冒頭部分の

「むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんいました。
 おじいさん山へ芝刈りに、おばあさん川へ洗濯に行きました。」

という文は、新情報と旧情報の区別の説明でよく引用されます。

初めて「おじいさん」と「おばあさん」がトピックに出てくるときは「が」、読者におじいさんとおばあさんの存在を伝えたので以降は「は」を使っています。

 

日常会話でも、

「ねぇ、私の友達にミカちゃんって子いてね。ミカちゃん料理がすっごく上手なの。」

のように、ミカちゃんを初めてトピックに出したときには「が」その次から「は」を使います。

それが、新情報か旧情報かの基準です。

 

3.現象文か判断文か

 

「現象文」とは、現象や状況を見たままありのままに、話し手の主観的な判断を加えずにそのまま表現する文のことです。現象文の主格には「が」が付きます。

一方、「判断文」とは、現象や状況を話し手が主観的な判断を加えて表現する文のことです。判断文の主格には「は」が付きます。

 

 

ラーメン屋を見て

 行列ができてる!現象文:見たままの状況を言う
 あのお店はきっと人気店だ判断文:行列ができているから「人気なはず」と自分で判断して言う

 

 

4.主格が対比の意味を表すか、排他の意味を表すか

 

主格が、その文の中には出てこない同じ種類の名詞に対して対比の意味を持つときは「は」を使います(対比の「は」)。

一方、「それだけが〜である」という排他の意味を持つときは「が」を使います(排他の「が」)。

  1.  犬好きです。☞(ほかの動物は好きじゃない
  2.   私リーダーです。(他の人ではなくて、この「私」がリーダーであるという排他の意味を表す)

 

 

相手にわかりやすく、「リスニングは得意だけど、読解は苦手。」と同ジャンルのほかのものと対比して言ってくれる場合と、「リスニングは得意だよ。(☞他は苦手…)」と対比する対象を言わない場合とがあります。

 

恋愛ドラマや恋愛漫画でもよく出てくるフレーズ、「あなたがいいの!」は、「他の人じゃダメなんです。あなたがいいんです。」というニュアンスを表しています。

 

 

5.主格が文末までつながるのか、節の中だけにしかつながらないのか

 

主格が文末までつながるとき「は」を使います。

その場合、前文と後文の主格は同じです。

 

一方、主格が節の中だけにしかつながらないときは「が」を使います。

その場合、前文の主格と後文の主格は違います

 

 

  1.  わたしはごはんを食べるとき、ビールを飲む。☞ごはんを食べるのもビールを飲むのも「わたし」
  2.  わたしがごはんを食べるとき、父はビールを飲む。☞ごはんを食べるのはわたし、ビールを飲むのは父)

 

6.連体修飾節の中は「が」

 

名詞を文で修飾する連体修飾節の中の主格には、「が」(または「の」)を使うというルールがあります。

 

例えば、

  • これは車です。
  • これはかっこいい車です。(い形容詞で修飾)
  • これは人気な車です。(な形容詞で修飾)
  • これは、父が卒業祝いに買ってくれた車です。(「父が卒業祝いに買ってくれた」が修飾部分)

のように、連体修飾節部分の主格には「が」を使います。

 

※「彼女の作るご飯は、どれもおいしい。」のように、連体修飾節部分の主語を「の」で表すこともあります。

 

まとめ

 

  1. 「が」の前、「は」のうしろに一番大切な情報
  2. 新情報か旧情報か
  3. 現象文か判断文か
  4. 対比か排他か
  5. 主格が文末までか、節の中だけか
  6. 連体修飾節の中の主格には「が」

 

以上が、「は」と「が」の使い分けの基準としてよく使われるものです。

 

普段目にした文が「は」を使っているのか、それとも「が」を使っているのか、そして何を基準として使い分けているのか考えてみることで、使い分けに慣れていくことでしょう。

 

この使い分けは、まだまだ議論が続いているものもありますが、とりあえずはこの基準がよく使われているものなのでご説明しました。

奥が深すぎる日本語ですが、頑張って習得しましょう(/・ω・)/